日本は8月15日、終戦の日を迎えました。戦後の80年間、日本では「反戦平和」が語られ、様々な議論が行われてきました。ロシアによるウクライナ侵攻や中東の戦乱など、国際社会の安全保障は大きく揺れています。防衛研究所の庄司潤一郎研究顧問は「80年前の過去を省み、今こそ日本は積極的に世界の平和と秩序づくりに貢献する責任がある」と語ります。
――過去80年、日本では戦争がどう語られてきましたか。
戦後当初から、「東京裁判史観」をめぐる議論やマルクス主義の影響により、政治やイデオロギーと結びついて戦争が語られてきました。
大多数の国民は被害者とされてきましたが、ベトナム戦争の反戦運動を契機に、「日本は加害者でアジアの人々が被害者だった」という考え方が提起されました。
歴史家の家永三郎氏は、1968年に発表した「太平洋戦争」(岩波書店)で、日本の残虐な侵略行為を詳述しました。家永氏は、侵略戦争で死んだ日本軍兵士は「犬死に」だと指摘して反発を招き、一部は反論の根拠として「大東亜戦争肯定」へと傾斜していきました。
【連載】読み解く 世界の安保危機
ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ380人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。
■戦後続いた「戦争について冷…