【動画】済州島を訪れた加藤登紀子さん。韓国語で歌を披露する場面も=中野晃撮影

連載:済州に捧げる歌 加藤登紀子さん 戦後80年の旅【5】

 済州島(チェジュド)に滞在する最終日となった4月3日、加藤登紀子さんは再び、島を生んだ漢拏山(ハルラサン)を望む「済州4・3平和公園」を訪ねた。

 大勢の島民が軍警に虐殺された「済州4・3」の民衆蜂起から77年となるこの日、韓国政府と済州特別自治道が主催する犠牲者追悼式が開かれた。韓悳洙(ハンドクス)・大統領権限代行や与野党代表らが出席。道知事は追悼の辞で、今なお約4千人の犠牲者の遺骨探しが続いており、4・3は終わっていないことを伝えた。

済州4・3平和公園で開かれた犠牲者追悼式。ステージには犠牲者を象徴するツバキの花の絵があった=2025年4月3日、韓国・済州島、中野晃撮影

 会場のスクリーンで、ようやく父親の遺骨が見つかった男性の話が紹介された。4・3当時、父親が軍警に連行されて行方不明になり、幼かった男性は故郷の島を離れた。その息子がDNA鑑定を申請。済州空港の敷地の調査で見つかった犠牲者の骨から、男性の父親の遺骨が特定された。父との再会を果たし、男性は納骨堂で「アボジ、サランヘヨ(お父さん、愛しています)」と泣き崩れた。

 映像の上映後、鑑定を申請した息子と孫にあたる少女が登壇した。少女の言葉に聴衆はすすり泣き、拍手した。

 「作家のハン・ガンさんは『…

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