Smiley face
写真・図版
千葉道子さんの家族写真。父・菊池武一郎さんのひざの上が道子さん=千葉さん提供

 あの戦争が生み出した悲しみ、苦しみを語れる人が、どんどん減っている。宮城県連合遺族会は今年、戦没者遺族の体験記を集めた「終戦八十年記念誌」を刊行した。戦争で主に父親を亡くした43人で、戦没者の配偶者はいない。遺児たちも80~90歳代となり、こうした手記集を出すのは最後になりそうだ。

 仙台市の後藤城紀(せいき)さん(89)が小学2年生だった春、父は戦地へ発って行った。「勉強をしっかりしろよ」と、肩をポンとたたかれたのが最後。「硫黄島で戦死」との知らせが届き、母が崩れ落ちるように座り込んだのを覚えている。

 栗原市の高橋義雄さん(84)の父の戦死公報は、終戦の8月に届いた。その日を境に、家族の雰囲気が一変した。

淡い父親の記憶、セピアの写真の中に

 「祖父は毎晩酒を浴びるよう…

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