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 山口代表の高川学園は大会第11日の16日、日大三(西東京)との3回戦に臨む。強力打線で夏を2度制した「強打の三高」に対して闘志を燃やしているのは、初戦で好調だった5番打者と挽回(ばんかい)を期す7番打者だ。

 「夢のようです」

 初戦でチーム最多の4安打を放った5番打者の山口岳士(がくと)選手(3年)は、快勝劇を振り返る。

 もともとは控えの選手だった。そこから、「はい上がるには練習量しかない」と休み時間も素振りを欠かさなかった。

 レギュラーとなり、打線の中軸の座をつかんだのは今春から。しかし、山口大会では準々決勝まで調子が上がらず、無安打だった。

 寝る間も惜しんでバットを振り続けた。決勝は初回に2点適時打を放ち、勝利の立役者となった。

 神戸市出身。野球好きの父親と試合を観戦した甲子園は身近な存在だった。球児の筋書きのないドラマにときめき、「いつか自分も」と夢を膨らませていった。

 甲子園の初戦突破に貢献したものの、自己採点は「90点」。4安打はいずれも単打だったため、長打が出なかったのが反省点だ。

 伝統校との3回戦には、地元の友人たちがスタンドに集まる。「強い打球で長打につなげたい」。満点の打撃をみせるつもりだ。

     ◇

 「まったくダメです」

 初戦でチームが計13安打を放つなか、7番打者の間地展生(てんせい)選手(3年)は、無安打に終わった。

 177センチ、88キロの恵まれた体格。山口大会では、7番打者として3割越えの打率を残し、切れ目のない打線の一翼を担った。

 しかし、甲子園の舞台は勝手が違ったようだ。

 「調子も良く、積極的に狙っていったんですが、インパクトの強いスイングができなくて」と初戦の出来を悔やむ。

 岡山県出身。姉の影響を受けて、小学1年から本格的に野球を始めた。中学に進むと、硬式野球のクラブチームに所属し、全国大会で8強入りした。

 親元を離れて、京都の野球強豪校に進んだ姉の姿を見て、「甲子園に行くために自分も自立しなければ」と決意した。練習環境の充実した高川学園を進学先に選んだ。

 めざす「甲子園2勝」に向けて奮起を誓うのは、チームのためだけではない。

 自分を野球に導いてくれた姉のためでもある。「次こそは、いいところを見せつけます」

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