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茨城大会決勝で藤代に勝利し、喜ぶ明秀日立の選手たち=2025年7月27日、ノーブルスタ水戸、後藤隆之撮影

 茨城大会は、明秀日立が3年ぶり2回目の優勝を果たし、幕を閉じた。三つの連合チームを含む91校84チームが繰り広げた熱戦を振り返る。

 朝日新聞の集計によると、今年の本塁打は計11本(ランニングホームランを含む)。昨夏は計13本、一昨年夏は24本と、本数は減少傾向にある。昨夏から低反発バットの使用が義務づけられた影響が出たと言えそうだ。

 そうした状況下で、大会を通して投手の活躍が目立った。

 1回戦では太田一の山本瑛舜(3年)と水戸農の桜井蓮(3年)が延長十回まで投げ合った。九回まで2―2の投手戦で、見応えがあった。2回戦では土浦日大の永井柊帆(3年)が水戸商から9三振を奪いながら、七回に固め打ちされて逆転負けした。

 3回戦と4回戦は記録ずくめだった。まず3回戦は、霞ケ浦の市村才樹(3年)の活躍だ。昨夏の甲子園で智弁和歌山に勝利する原動力となったエース左腕は、下妻一を相手に11年ぶりに無安打無得点試合を達成した。

47年ぶりの快挙も

 4回戦では、水戸啓明エースの中山優人(3年)が、春の県大会4強だった水城相手に完全試合を成し遂げた。球速140キロを超える直球など112球を投げて14奪三振。47年ぶりの快挙だった。

 8強に入ったチームには、中山以外にも最速140キロを超える好投手が相次いだ。昨夏の茨城大会で最速145キロを投げた常総学院の小澤頼人(3年)に加え、つくば秀英の中郷泰臣(3年)の直球には伸びがあった。今後の活躍に期待したい。

 決勝は、藤代と明秀日立のカードだった。両チームとも三回途中から、投手陣の柱を投入した。藤代は斉藤駿介(3年)で、明秀日立は中岡誠志郎(3年)。試合ごとに球速が増し、最速144キロまで更新した中岡を擁する明秀日立に軍配があがったが、両投手の気迫のこもった投げ合いが、延長十回タイブレークの熱戦を生んだ。

 一方で、明秀日立は、「打ち勝つ」チームとして頂点に立った。6試合でチーム打率3割5分3厘。準々決勝で負傷し、本調子ではない主将の能戸輝夢(きらむ)(3年)が決勝の九回に代打で安打を放ち、チームを鼓舞した。万全な態勢で甲子園に臨んでほしい。

 8月5日から夏の甲子園が始まる。まずは、茨城勢の4年連続の初戦突破を期待している。

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