30代半ばから看護部長だった敬子さん=佐野潤一郎さん提供

それぞれの最終楽章 看護部長ががんに(2)

米文学研究者 佐野潤一郎さん

 コロナ下の2020年5月に卵巣がんを告知された妻の敬子は翌6月、子宮を含めて手術で摘出したのですが、入院中はとても深い孤独を感じていました。

 感染予防のために面会は厳しく制限され、家族の私が物を渡す際も看護師が中継し、直接触れ合うことができませんでした。長年、中規模病院で看護部長を務めてきた敬子は、部下たちの忙しさを誰よりも知っていながら、やむにやまれず引き留めて話を聞いてもらうほど、つらかったそうです。

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 誰かに相談したい、つながりたい――。そんな切実な思いが敬子の背中を押し、自ら「がんサバイバー」として動き出す大きな力になりました。

 入院中のSNSで知り合い…

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