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抜海駅存続を求める署名を森寛泰さんから受け取る稚内市の田中克良企画総務部長(左)=北海道稚内市役所、関係者提供

 北海道稚内市のJR宗谷線抜海駅の存続を求めて地元有志が11日、6782筆のオンライン署名を市に提出した。市は、来年3月末で維持管理費の負担を打ち切って廃駅にする方針を、今年6月末にJR北海道に伝えている。ただ有志らは「大逆転の前例がある」と12月に発表される来春のダイヤ改定の発表直前まで諦めないとしている。

 署名は今年6月の開駅100年記念事業を企画した地元有志でつくる実行委のメンバーが集め、地元2町内会の一つ、抜海町内会の森寛泰会長(62)が代表して田中克良企画総務部長に要望書を添えて提出した。

 無人駅の存廃判断は、毎年6月までに関係自治体がJR北に伝えるのが慣例で、稚内市は6月28日に廃駅方針を伝えている。

 地元有志が「大逆転」を期待するのは、4年前の経験からだ。抜海駅はJR北が2019年に初めて廃駅対象とした。工藤広市長は当初から廃駅の姿勢だったが、判断を示す20年6月以降も存廃についての明言を避け続けた。結局、12月9日にJR北が抜海駅の存続を含む21年春のダイヤ改定を発表。発表翌日の10日は市議会最終日にあたり、工藤市長は特別発言の場を設け、JR北の発表直前に電話で存続方針を伝えたと説明した。

 地元有志は今回も、25年春のダイヤ改定の発表前日まで廃駅撤回の可能性があると信じている。

 森さんは「今年は全国の人たちのおかげで開駅100周年を迎えた。老朽化といっても、まだまだ現役。100年の思いが詰まった駅を列車が止まる駅として残してほしい。列車が止まらなければ駅じゃなくなるから」と署名簿に最後の期待を託した。(奈良山雅俊)

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