神戸港沖で23日夜、押船が貨物船と衝突し転覆した事故で、第5管区海上保安本部は24日、押船「奨栄丸」(19トン)船長の田代正和さん(73)=長崎県佐世保市=が船内で見つかり、搬送先で死亡が確認されたと発表した。
一方、行方不明になっていた男性船員(62)は事故の約7時間に転覆した船内から救助され、けがはなかった。
海保によると、この船員は人が立って呼吸できる程度の空間にいた。海保の潜水士が船をたたくと、中から「コンコン」と応答するような音が聞こえたため、潜水して船員を助け出したという。
海保によると、奨栄丸は別の船を押して航行する船で、3人が乗船。衝突の約40分後に男性船員(75)が救助され、命に別条はないという。
所有する大協海運は取材に「事故の原因などは分かっているが、言いたくない」としている。
奨栄丸と衝突したのはマーシャル諸島船籍の「ヤニス・エヌ・ジー」(4万3291トン)。フィリピン人21人が乗船していたが全員けがはないという。(原野百々恵)