シリアのアサド政権が崩壊してから8日で1カ月。「今世紀最悪の人道危機」と呼ばれた内戦やアサド前大統領による独裁支配を逃れ、中東や欧州などの各国に離散した約500万人のシリア難民の帰還が進んでいる。国際社会が新生シリアの行方を固唾(かたず)をのんで見守るなか、難民たちは将来への希望を抱き、新たな一歩を踏み出した。
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登録されているだけで70万人以上のシリア難民を抱え、トルコに次ぐ第2の受け入れ国となってきたレバノン。東部マスナアにあるシリアとの国境検問所を昨年12月15日に訪れると、シリアに向かう車が列をなして渋滞となっていた。出国手続きを待つ人々の顔には、期待と不安が入り交じったような表情が浮かんでいた。
バヤン・ザイターさん(31)は、アサド政権の崩壊を受け、国内の治安が安定するとみて帰国を決めた。2012年、夫と当時2歳の長女を連れて、シリアの首都ダマスカスからレバノン東部ザーレに逃れた。この間、親族のうち、おじら4人がアサド政権下の収容所で死亡し、3人が戦闘で犠牲となったという。
「アサド政権、崩壊して幸せ」
自宅も破壊され、当面は親族…