秋山和慶さん=ヒラサ・オフィス提供

 指揮者の秋山和慶さん(84)が23日、引退を発表した。今月1日に自宅で転倒し、大けがを負って翌日から入院。その後、8月末までの活動休止が発表されていた。

 所属事務所はウェブサイトに、秋山さんの家族のコメントを掲載。重度の頸髄(けいずい)損傷のため手足に後遺症が残っており、現在も入院中で今後の指揮活動は難しいと判断したと明かし、「この重い決断は、意識がはっきりしている本人と家族によって十分に話し合われた結果決めたことです」「これまで60年間にわたり秋山和慶を支えてきてくださったすべての皆様に心より御礼申し上げます」とつづった。

 秋山さんは1941年東京生まれ。桐朋学園大で斎藤秀雄に師事し、64年2月に東京交響楽団を指揮してデビュー。同団の音楽監督・常任指揮者を約40年にわたって務めた。兄弟子の小澤征爾さんとともに、斎藤の教え子らを中心とするサイトウ・キネン・オーケストラの創設と発展に尽力した。

 カナダも拠点とし、トロント交響楽団副指揮者、バンクーバー交響楽団音楽監督(現在は桂冠(けいかん)指揮者)などを歴任。日本でも大阪フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、九州交響楽団の首席指揮者、広島交響楽団の音楽監督などを務めた。

 オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラなどの吹奏楽団や、各地のジュニアオーケストラの指導にも尽力。現在は洗足学園音楽大学芸術監督・特別教授、京都市立芸術大学客員教授を務めている。

 昨年、指揮者生活60周年を迎えていた。

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