警視庁公安部と東京地検の捜査に、二審でも「違法」との判断が突きつけられた。東京高裁の判決は、捜査の出発点となった輸出規制をめぐる解釈の正当性すら否定した。冤罪(えんざい)がつくり上げられた背景に、何があったのか。
起訴取り消しに至った異例の事件。大川原化工機の社長らがこの裁判で問うたのは「事件は捏造(ねつぞう)だったのか」だった。
捜査が違法だったことは、すでに一審・東京地裁の段階で認定されていた。
地裁の証人尋問では、この捜査に関わった警部補が、事件は「捏造」と証言。地裁判決は、公安部や東京地検が適切な追加実験をしていれば「犯罪にあたらないと容易にわかった」と指摘した。
高裁の証人尋問でも、別の警部補が、事件を立件する理由は「なかった」と言い切った。捜査の正当性を裏付ける新証拠も乏しく、高裁で違法捜査の認定が覆る可能性は低かったといえる。
高裁判決の最大の注目点は「捜査の出発点」をどう判断するかだった。
公安部が社長らを逮捕したの…