大阪府警の捜査員2人が捜査対象者に暴行を加えたとして、8月に特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕、起訴された。
2人の所属は暴力団が関わる犯罪の捜査を担ってきた捜査4課だ。
強い姿勢で反社会勢力と向き合ってきた4課だが、暴行により、多くの女性を標的にしていると警察がみる集団の実態解明は遠のいた。府警内部からも様々な声が上がっている。
暴行は、女性を性風俗店に紹介しているとされる全国規模のスカウトグループの拠点を家宅捜索している最中の出来事だった。
職業安定法違反容疑事件での捜索で、府警はこれを足がかりに組織中枢への捜査を進める方針だったが、捜査員の違法行為によって同容疑の捜査は中断となり、それが困難になった。
逮捕、起訴されたのは警部補の時長力被告(51)と巡査部長の阪口裕介被告(33)。
扉を爆破、元4課員「組員とのせめぎ合い」
時長被告は捜索の現場責任者で、逮捕された際、「殴打したという認識はない」と否認し、阪口被告は認めていた。
暴力団犯罪を取り締まる捜査員は「マル暴刑事」と呼ばれる。組事務所への捜索では荒々しい声を上げて組員とにらみ合うこともある。
暴力団という言葉が使われ始めたのは昭和30年代。社会問題だった暴力団犯罪を担当する組織として、府警は1961年、刑事部内に捜査4課を新設した。
現在、4課は約190人が所属する府警刑事部の一大勢力だ。
殺人事件などを扱う捜査1課…