Smiley face
写真・図版
法相に提言を手交する「日本の尊厳と国益を護る会」メンバーら=2025年4月1日午後5時30分、法務省

 選択的夫婦別姓の推進論は、「個人としての自分らしさ」が強く主張されてきた戦後80年の社会のあり方をあぶり出している――。自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表=青山繁晴参院議員)は1日、そんな認識のもと、選択的夫婦別姓の導入に反対する提言を、鈴木馨祐法相に手渡した。

 提言を手渡したのは、青山氏のほか、山谷えり子、和田政宗両参院議員ら。青山氏は「選択的別氏制度は導入しないでいただきたい」などと求めた。これに対して、鈴木法相は「国民の間にも様々な意見があるので、国会において議論をいただきたいということで、我々としては情報提供に努めている」と述べた。

「こういう考え方が自民党に一番多い」

 提言では、推進派の主張ではアイデンティティーが強調され、「個人としての自分らしさ」という意味で使われる傾向があるが、「共同体の一員としての自分らしさ」もまたアイデンティティーだと指摘。▽「同一戸籍・同一氏」の原則の変更は、必然的に「家族氏」を消滅させるため、現行の原則を堅持する▽旧姓使用のさらなる拡充や旧姓使用に対する法的根拠の付与で対処する――など8項目を提言した。

 8項目の中では、推進論には「『家概念の解体』という特定のイデオロギーによる思惑がある」とも強調。国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)の勧告が引用されることもあるとしたうえで、CEDAWが皇室典範の改正を勧告したことを念頭に、「同委員会は皇位が父系一系で維持されることを女性差別とするなど(日本の)文化的背景への理解を大きく欠く面がある」と指摘した。

 「夫婦の氏制度を議論することは、天皇陛下のご存在と皇室のあり方とは何ら関係しないことに深く留意する」との項目も盛り込んだ。

 青山氏は記者団に、「こういう考え方が自民党の議員集団に一番多いと思う」と語った。同会には衆参の約80人が参加しているという。

共有