米バイデン政権が、ウクライナへの武器支援に設けてきた制限の一部を解除した。ウクライナは今後、激化する北東部ハルキウ周辺に対する攻撃への反撃に限り、米国から提供された武器を使ってロシア領内を攻撃できるようになる。背景にはハルキウや国境地帯で増え続ける市民の犠牲がある。
米当局者は30日、取材に対し「(バイデン)大統領が、ウクライナがハルキウ地域で反撃の目的で米国の兵器を使えるようにすることを、チームに指示した」と明かした。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「米国の大統領が核武装した敵国内の大砲やミサイル基地、司令部への限定的な軍事攻撃を許可した初のケース」だと指摘した。
米国は、ほかにもロシアを過度に刺激する可能性のある長射程の兵器は避けるなど、ウクライナへの武器支援に一定の制限を設けてきた。ただ今回は、フランスのマクロン大統領が28日に訪問先のドイツでのショルツ首相との共同記者会見で「ウクライナにミサイルを発射している軍事拠点を破壊することを認めるべきだ」と述べるなど、米国に決断を促すような動きもあった。ドイツの政府報道官は31日、声明で、ロシア領土からの攻撃からウクライナを守るためドイツ供与の武器を使える、と表明した。
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