自民党総裁選(27日投開票)をめぐり、候補者が相次いで「年収の壁」撤廃に言及している。パートで働く人らが一定の収入を超えると逆に手取りが減るため、時間を抑えて働く問題で、「壁」を取り払って就労を促すねらい。だが、乗り越えるべき課題も多い。
「年収の壁は撤廃。1年間で課題解決につなげていく」
小泉進次郎元環境相は7日、立候補表明後初の街頭演説をした東京・銀座で強調した。「働いている方には原則、厚生年金が適用されるように制度を見直す」と主張する。
高市早苗経済安全保障相、小林鷹之前経済安保相、河野太郎デジタル相らも「壁」の見直しや解消などを訴えている。
会社員の配偶者ら一定の収入がない人は、年金や医療といった社会保険料を負担していないが、年収が「106万円」や「130万円」を超えると、支払いを求められる。
従業員101人以上(10月からは51人以上)の会社で週20時間以上働く場合は106万円、それ以外の従業員100人以下(10月から50人以下)の企業に勤務しているなどの場合は130万円が壁となる。
これらの壁は、収入が増えても手取りが減ってしまうため、就労を阻むと指摘されている。厚生労働省は、壁を意識して働いている人は、2019年時点で最大約60万人と推計する。
各候補とも問題への具体的な方策にはふれていない。ただ、「壁」をすべて取り払うにはハードルもある。
負担増、不公平感も……
一つが新たな保険料負担だ…