私たちが口にする野菜やコムギなどの作物。その遺伝的な多様性には、人間が大きく関わっている――。人類生態学者で香川大学准教授の河合史子さんは、こうした植物と人間の相互性を考えることは、「人間同士」の関係を考えることにもつながると指摘します。
利用しあって進化
植物には様々な生存戦略があります。
たとえば、虫や風に花粉を運んでもらう「他家受粉」型の植物は、異なる個体同士で花粉をやり取りすることで遺伝的多様性を確保しています。花粉を媒介する虫は、植物の生殖システムの一部とすら言えます。花の構造と虫の体のつくりが合うような、互いに影響を与え合う「共進化」も見られます。
このように考えると、野菜や…