そのメールが届いたのは日曜日の夕方だった。
「今後開示請求があった際のことを踏まえると、現時点で削除した方が良いと思われる箇所があります」
送信は2017年2月26日午後3時48分、重要度は「高」。件名には「【重要・作業依頼】」とあった。東京・霞が関の財務省理財局の職員から、大阪市の近畿財務局(近財)の課長らにあてたメッセージだった。
国会ではこの時期、学校法人・森友学園(大阪市)への国有地払い下げが問題となっていた。大幅に値引きして売られ、建設予定の小学校の名誉校長に安倍晋三首相(当時)の妻昭恵氏が就いていたことが疑惑を呼んだ。理財局は国有地の管理を担当し、近財が現場対応にあたっていた。
理財局のメールは、森友問題の決裁文書の改ざんを近財に指示するものだった。
日曜日の夕刻、近財の職員らは急きょ登庁し、作業にあたった。理財局からはその後も、改ざんする文書名と箇所を具体的に指示するメールなどが相次いで届く。
翌27日午後6時15分、近財側は理財局職員2人にメールを送った。
「ご指示に従い、内容を確認して、大幅にカットさせていただきました」
止まらなかった理財局の改ざん指示
その後も理財局の指示は止まらず、改ざんの作業は続いた。改ざんを強いられ、発覚した18年3月に自死した近財職員の赤木俊夫さんが残した文書には、近財側の抵抗の跡が残る。
「既に意思決定した調書を修正することに疑問が残る」「現場の問題意識として既に決済済の調書を修正することには問題があり行うべきではないと、本省審理室担当補佐に強く抗議した」
理財局側に「現場としてご指示通りの処理はできません」とメールした近財職員もいた。
なぜ、理財局は近財職員らを巻きこんで文書改ざんに突き進んだのか。財務省の調査報告書にはその経緯が記されている。
起点となったのは、17年2月17日の安倍氏の国会答弁だった。
近く3回目の文書開示
「安倍一強」の政治状況で起きた森友学園問題で、全体で計17万ページ超の関連文書の開示が進んでいる。これまで開示された文書からは、決済文書改ざんに至る財務省の内情が浮かんできた。8月中に予定される3回目の開示は、改ざんに関わった職員らが残していた文書が対象で、新事実が明らかになるか、注目される。
「関係していれば首相も議員も辞める」
「私や妻が関係していれば首…