那覇市で憲法記念日に開かれたシンポジウムで、自民党の西田昌司参院議員がひめゆりの塔の展示について「歴史の書き換え」などと発言したことについて、沖縄県内から抗議や批判の声が上がった。
発言のどこが問題なのか。ひめゆりの塔の展示に込められた思いとは。沖縄戦や沖縄の戦後史に詳しい戸邉秀明・東京経済大学教授(日本近現代史)に話を聞いた。
激戦の渦中に放り出された「ひめゆり学徒隊」
――今回の西田議員の発言に何を感じましたか。
「沖縄の人々を前に、あれほど事実誤認の発言をしたことは、まず非難されて当然です。しかし、より注意すべきは、あの発言がどのような文脈で出たのか、そこに込められた発言の意図の方です。これは本土のメディアではほとんど問題にされていません。実際の展示と発言内容との違いに議論が集中しがちです。沖縄の『歴史の書き換え』を非難した西田議員自身が『歴史の書き換え』をしたかどうか、それだけが議論されています」
――その意図とは?
「問題となった憲法記念日の講演で、西田議員は『緊急事態が出てくる前に、みんなが気づいて、国民保護できるための法律の整備をしないといけない』と述べたうえで、間違った戦後教育の具体例として、地上戦の解釈を含めた沖縄の歴史教育を批判しました。つまり、有事を想定した国民保護法制を整備するためには、沖縄で共有されている沖縄戦認識は有害だから変えなければいけないという主張の中で、ひめゆり平和祈念資料館の展示に触れたのです」
「攻撃を受けたのは、個別の展示内容ではなく、沖縄の平和教育が示してきた住民目線からの沖縄戦の教訓でした。教訓とはなにか。『軍隊は住民を守らなかった』という事実です。軍隊はいざとなれば、軍隊自身と、その軍隊に命令を下す者の護持を最優先にして行動するということです」
――なぜ「ひめゆり」が問題視されたのですか。
「記者会見での釈明によれば…