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耕作放棄地だった農地にズッキーニを植える伊藤将太さん(右)と、手伝う父の賢也さん。後ろの畑には栽培をやめたビニールハウスが見える=2025年5月23日、岩手県大槌町、東野真和撮影

 東日本大震災後の三陸沿岸で、拡大に拍車がかかった耕作放棄地。それを次々借りて無農薬野菜を育てている青年がいる。住民がもてあました場所を使って関係人口を増やし、後に続く人も現れた。始めたきっかけは、おばあさんの涙だった。

 5月下旬、伊藤将太さん(31)は岩手県大槌町の山間部にある20アールほどの畑の一部に、ズッキーニの苗300本を植えた。ここは風が強く、背の高い野菜は適さないという。

 3年間放置された農地を頼まれて今年借り、胸の高さまで伸びていた雑草を刈って土に混ぜる作業を繰り返して植えた。これから他の野菜も植えて、収穫後、シートをかぶせて太陽熱で高温消毒する。周囲の大半は耕作放棄地だ。「耕作している人で、私の世代は1人もいません」

 今春、会社を定年になった父…

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