総務省=東京都千代田区

 総務省の有識者会議は19日、放送・配信コンテンツ産業の競争力強化に向けて官民が連携する協議会を今年度中にも設立する案をとりまとめた。協議会では人材育成などの戦略を練り、資金の一部はNHK受信料を充てる方針を示した。

 放送業界は近年、潤沢な資金を誇る米ネットフリックスなど配信サービスの台頭で変化が迫られている。韓国が国を挙げてコンテンツ産業を後押しするなど世界的な競争は激しい。一方、日本国内は、テレビ広告市場の縮小に伴い、番組制作費は減少傾向にある。

 今回の会議「放送・配信コンテンツ産業戦略検討チーム」でも、人材育成や製作環境整備といった課題が挙げられた。

 こうした課題に対応するため、新たに協議会を立ち上げるという。メンバーは総務省やNHK、民放のほか、知的財産の権利に詳しい弁護士らの参加を想定。産業競争力を高めるために官民で共通の目標を掲げ、基本戦略を策定する。課題解決のための資金は、総務省の予算のほか、NHK受信料を想定している。

 NHKは放送法上で、放送全体のための貢献が期待されている。同局は中期経営計画でメディア産業全体のために還元目的積立金100億円を確保。ファンディング機関を設けて、受信料を拠出する方針だ。

 NHKはこの100億円とは別に600億円を確保し、民放との中継局の共同利用会社を設立に一部を使っている。今回の動きは受信料を民間のソフト面にも充てることになる。

 総務省は今後、意見募集を実施し、7月中に正式なものを取りまとめる方針。

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