政府に対するデモが拡大し、2年前に政権が崩壊したスリランカで、9月21日に大統領選挙が実施される。政変後初めての国政選挙を控え、デモの参加者や苦境にあえぐ人々は、何を思うのか?
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最大都市コロンボ中心部の広場。日本で生まれ、7歳まで東京で育ったカスミ・ラナシンゲさん(28)は7月、雑草が生い茂るこの場所に2年ぶりにやってきた。
「デモが激しかった時は、テントを張ってここに寝泊まりしていた」
2022年春、スリランカはコロナ禍や失政が重なり、深刻な外貨不足に陥った。燃料となるガソリンやガスを輸入できなくなり、約10時間にも及ぶ停電が発生。給油に長蛇の列ができ、医療品も入手が難しくなった。
政府はその年の4月、「他国からの借金の返済ができなくなった」として、債務不履行(デフォルト)を発表した。
水をためる大きめのタンクがあったラナシンゲさんの自宅には、「水を分けて」と助けを求める住民が次々にやってきた。「住民が団結して声をあげるべきだと感じた」と当時を振り返る。
デモに参加、「後悔はない」と言う理由
広場を拠点に、「大統領や首…