Re:Ron特集「10・27を話そう」濱田真里さん

 異例のスピード解散を経て始まった衆院選。一票を投じる10月27日に向け、いま、大事にしたいことは何か、さまざまな社会課題と向き合う立場から考えます。

 誰に投票すればいいのか、迷う……。女性議員を増やすため、選挙にかかわる活動を続けてきた濱田真里さんも、そんな一人だといいます。「女性候補と政治」の視点から見たとき、今回の衆院選はどうでしょうか。投票先を判断するヒントを、共に探ります。

10・27を話そう② 女性議員・候補を支援する濱田真里さん

 ――石破茂氏の首相就任の8日後に衆院を解散、その18日後には投票と、なんともあわただしい印象です。

 いち有権者としては唐突という感は否めません。新聞やテレビではさすがに選挙に関する報道が増えていますが最近、テレビは持たない、新聞も取っていないという人が私の周りにも多く、生活にかかわる大事な選挙なのに、どれほど意識しているか気になります。実際、解散の数日前、周囲に「選挙あるよね」と話をふっても、反応が鈍いことがありました。

前回衆院選、参院選、今回は…

 ――とはいえ、有権者は一票を投じるわけですよね。社会課題が多様化するなか、何を判断材料に投票先を決めればいいか、悩ましいと思います。濱田さんは何に注目しますか。

 私は女性議員を増やすため、女性の進出を阻むハラスメントの問題に取り組んだり、子育て中の候補を支えたり、様々な形で選挙に関わってきました。その観点からすると、まずは候補者の中に女性がどれだけいるかに注目したいです。

 ――内閣府によると、前回2021年の衆院選の女性比率は、自民党が候補者の9.8%、当選者だと7.7%。立憲民主党は候補者の18.3%、当選者だと13.5%です。22年の前回参院選だと、自民が候補者の23.2%、当選者の20.6%、立憲は候補者の51.0%、当選者の50.0%が女性でした。もちろん他にもっと女性比率の高い政党もあるのですが、いかんせん数は少ない。

 女性議員が増えるには、政党がどれだけ女性候補を立てるかが大事です。特に与党などの多数党がどれだけ女性を擁立するかが大きい。ただ、前回参院選で自民党候補の女性比率が上がったので、昨年の統一地方選に期待したのですが、東京都の区議会でさえ20%に届いていません。

 統一地方選後、自民党は昨年6月、10年間で自民の女性の国会議員比率を3割に引き上げる計画を発表しました。現状では自民党の女性議員の割合は1割強、本気で3割を目指すのなら、せめて候補者の女性比率を3割に近づける姿勢をみせてほしい。

 ――今回の衆院選の女性の候補者が過去最高の314人です。政党別でみると、自民の女性候補の比率は前回の9.8%を上回る16.1%。ただ小選挙区に限ると9.4%にとどまり、比例の単独候補に女性を多く擁立したのが功を奏したかたちです。ちなみに比例単独候補の女性の比率は39.5%。一方、立憲民主は22.4%、小選挙区に限ると22.7%です。その他、維新は17.7%、公明16.0%、共産37.3%、国民21.4%、れいわ34.3%、社民29.4%、参政が37.9%です。政府は来年までに国政選挙の候補者に占める女性の割合を35%にする目標を設定していますが、30%に達しない政党が多いのが実情です。

 政治の世界での男女の共同参画を目指す候補者男女均等法が2018年に施行されてから6年。21年にはハラスメント対策に関する条文を新たに設けるなどの改正も行われ、政党も努力はしていると思いますが、こうした数字をどう見るかでしょう。

改正候補者男女均等法の成立を喜ぶ「クオータ制を推進する会」のメンバーと超党派の議連会長を務めた中川正春衆院議員(当時、後列右から4人目)=2021年6月10日、東京・永田町

 神奈川県大磯町議会は、2003年に女性議員比率50%を達成して以降、この状態を維持しています。日本ではかなり珍しい議会ですが、所属している議員たちが書いた原稿や報告などに目を通すと、議会改革が進み、性別や当選回数、年齢にかかわらず自由に意見が交換されている様子が確認できます。

 ――政策面ではどうですか?

大切なのは世論と政党の連携

 自民党の総裁選で選択的夫婦別姓の導入が大きな争点になりましたが、10年前だったら考えられないことでした。これまであえて周縁化されてきた課題が、争点として可視化されたのは意義がある。衆院選の公約では「運用面で対応する形で一刻も早い不便の解消に取り組む」としていますが、他党には選択的夫婦別姓制度実現を公約に掲げるところもあり、衆院選で議論が深まってほしいです。

 ――候補者や議席の一定割合を女性とする「クオータ制」の導入を公約に盛り込んだ党もあります。

 クオータ制を巡っては超党派の女性議員による「クオータ制実現に向けての勉強会」が2021年に国会に立ち上がるなど、様々な動きがあります。しかし、党内でのクオータ制への反発はかなりあると聞きます。女性に議席を割り当てるとその分、今まで議席があった男性ははじき出されるので、ある意味当然でしょう。企業ならメンバーを増やして女性枠にするといったやり方もできますが、議席を増やすには法律改正も必要で簡単ではありません。

 ただ疑問なのは、議席の問題…

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