Smiley face
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社会学者の平山亮さん

 政治家が謝罪する時にしばしば語る「妻に怒られた」というエピソード。ジェンダー研究者の平山亮さんは、家事をしない男性が使う「妻に『やり方が悪い』と言われてやる気をなくした」という言い訳と同じメカニズムが働いていると指摘します。どういうことか、話を聞きました。

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女性を祭り上げ、自分は受け身

 政治家が謝罪会見などで「妻に怒られた」を使う時、女性を影響力を持つ存在だと祭り上げることで自分を受け身の立場に置き、責任を回避しようとしています。これは、男性の常套(じょうとう)手段の一つです。

 「妻に怒られるまで分からない」「妻に言われて初めて気付く」とすることで、自分の主体性を消し、女性に責任の主体性を押しつけているのです。女性を責任主体にすり替える言説は、例えば性暴力での「女がその気にさせた」や、男性が家事をしない言い訳の「妻に『やり方が悪い』と言われてやる気をなくした」など様々な場面で使われます。

「父のキゲンは、巨人が決めている。」にも

 ジェンダー論の中では長い間…

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