政治社会学者で立教大特任准教授の堀内進之介さん=本人提供

 コロナ禍という未知の状況に日本中が直面してから丸5年。未曽有の危機は何を変えて、何を変えなかったのか。2020年3月、国内で市中感染が進み始めた時期に、政治社会学者の堀内進之介さん(現・立教大特任准教授)に「緊急事態宣言」の是非を政治思想史の観点から紙面で論じてもらった。堀内さんとともに、改めてこの5年を振り返る。

「私権制限」の正統性が問題に

 20年3月13日、新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立。4月7日に7都府県に緊急事態宣言が出て、16日には全国に拡大した。

 「国内感染の初期に問題となったのは、外出や経済活動などの私権を制限する法的正統性をどう調達するかでした」

 適切な現状分析と法的手続きにもとづき政治が方針を決め、説明責任を果たす――。特措法は整備されたが、現実はこうした原則通りにはいかなかった。

 「政治の責任をうやむやにし…

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