熊本県天草市で1月、緊急走行中の救急車が衝突事故を起こし、運転をしていた20代の男性隊員から酒気帯び運転の基準値に近いアルコールが検出されていたことが分かった。隊員は事故当日の朝、車で出勤しており、県警が酒気帯び運転の疑いもあるとみて調べている。
天草広域連合消防本部によると、救急車は1月29日午前11時ごろ、119番通報で搬送依頼を受け、市内の介護施設に向かう途中で県道三差路(同市楠浦町)を曲がりきれず、進行方向の右側にある店舗兼住宅にぶつかった。
現場に駆けつけた熊本県警天草署の警官が、隊員の検査を行ったところ、酒気帯び運転の基準値(呼気1リットル当たり0.15ミリグラム以上)に近い0.14ミリグラムのアルコールが検出されたという。この事故でけが人はなく、介護施設からの搬送は別の救急車が行い、運ばれた患者に影響はなかったという。
消防本部では、出勤時に責任者による対面のアルコールチェックが規則化されている。だが事故当日、隊員はチェックを受けず、自らが記録簿に書き込んでいた。「前日夜に焼酎を飲んだ」と話しているという。
消防本部は「基準未満でもアルコールが残った状態で救急車を運転させたことは重く受け止めている。二度とないように再発防止に努めたい」とする。隊員の処分については、警察の捜査を踏まえて検討するという。