山梨県内にある公立小中高校などの教員の超過勤務について「過労死ライン」とされる月80時間を超える割合は、昨年度は全体が6.0%で、前年度の6.9%より減少したものの、県教育委員会が目標に掲げるゼロには届かなかった。特に高くなるのが学校行事が集中する4~6月、9~10月の5カ月間で、具体的な要因を明らかにした上で対策を立てる考えだ。
県教委は、小中高校、特別支援学校の教員約7300人を対象に、2023年度の時間外勤務の実態をまとめ、7月11日に外部有識者を集めた働き方改革推進委員会で報告した。
それによると、年平均で1カ月あたり80時間を超す残業があった教員の割合は、小学校3.3%(前年度4.6%)、中学校12.6%(同14.0%)、高校7.0%(同7.1%)、特別支援学校0.3%(同0.4%)と、いずれも前年度を下回ったものの、ゼロには達しておらず、特に中学校で高い傾向が続く。
今回初めて月ごとに80時間を超す残業のあった教員の割合を調べたところ、小中高とも最も高かったのが4月で、小学校10.8%、中学校26.8%、高校13.1%だった。そこから6月まで高い期間が続いた後、夏休みを挟んで、9、10月に再び上昇する。
県教委の担当者は「入学式、運動会、文化祭、部活動の各種大会など、行事が重なる時期と一致しているので、仕事が増えている可能性がある。また、高校では秋以降に進路指導が本格化し、その影響も考えられる」と説明する。
改革推進委員会では、中学校や高校の校長、教頭などの委員から「部活動の負担が大きく、大会への対応などもあって特定の先生がなかなか超過勤務を減らせない状況にある」などの意見も出た。
今回の調査では、残業が生じた理由まではたずねておらず、担当者は「今後、さらに具体的な要因を明らかにして、残業をどう減らすか対策を立てたい」としている。(米沢信義)