米ワシントン州ワラワラで開催された、チャットGPTに関する教員向けワークショップの参加者たち=2023年8月、ニューヨーク・タイムズ

Teachers Worry About Students Using A.I. But They Love It for Themselves.

 AI(人工知能)が学校現場に浸透するにつれて、ひとつのパラドックスが顕在化しつつある。

 多くの教育関係者は、ずる[cheating]や手抜き[shortcuts]を懸念し、学生・生徒たちのAI利用を制限しようとしている。

 その一方で、教員たち自身は、ますますAIを活用するようになっている。機械的な日常業務に費やす時間を省くと同時に、作文や小論文の採点、学習に困難を抱える生徒への個別指導といった、教員の最も重要な仕事の一部をAIに任せるようになっている。

 こうした矛盾は、厄介な倫理的問題を突き付けている。例えば、学生がリポートを書く際にはAIの使用を禁じておきながら、教員がAIを使ってそれを採点することが公平と言えるのか、といった問題だ。

 学校関係者がこうしたジレンマと格闘するのを尻目に、AI企業は学校現場に向けて、学びを「変革」「個別化」「加速化」できるといった宣伝文句[marketing claims]を矢継ぎ早に発信している。

 「AIはすでに大多数の教員と学生・生徒によって使われている」と、歴史教師の経験を持ち、AI学習ツールに投資するベンチャー企業「リーチキャピタル」の共同創設者であるジェニファー・キャロラン氏は語る。

 しかし、このテクノロジーが学校現場に浸透する中、憂慮を語る教育関係者もいる。テック企業は教育と学習の核となる人間関係を阻害する「家庭教師ボット[tutoring bots]」のようなAIソフトの開発に経営資源を振り向けているのではないか。教師の注意を子どもからそらしがちな、お役所的業務の負担を軽減するツールを開発してくれるのならよいのだが、と。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

学校現場のAI、避けて通ることはできないようです。NYTの取材に 「私はAI活用推進論者というより、AIリテラシー推進論者だ」と話す先生も。

■不正、それとも宿題の手助け…

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