忙しすぎる先生の仕事、少子化で進む学校の統廃合や複式学級化といった日本の教育現場が直面する問題は、生成AIが解決の一助になるかもしれない。元ソフトバンク社長室長で、ビジネス英語のコーチングスクールを運営する三木雄信さん(51)は、そんな未来を描く。英語学習の実践から考えた教育における生成AIの「正しい」使い方とは?
みき・たけのぶ
三菱地所を経て1998年にソフトバンク入社。2006年に英語コーチングスクール「トライズ」設立し、社長を務める。厚生労働省システム開発委員・年金記録回復委員会委員、内閣府原子力災害対策本部廃炉・汚染水対策チームプロジェクトマネジメント・アドバイザーなどを務めた。
――英語の学習に生成AIをどのように使っているのですか。
生成AIで、一人ひとりに最適な学習教材を提供しています。
たとえば、海外で活躍することになったサッカー選手の英語教材。彼が求めるのは、インタビューやチームでのコミュニケーションのための英語です。文法や単語といった初歩から学ぶ必要はなく、状況に応じて使う会話を学べば目標は達成できます。ポジションやプレースタイルによって使う用語も違いますが、生成AIはその選手に合わせて、必要な単語や言い回しを選んでくれます。
英語を学ぶ人が、英語で何をしたいのか、どんなことに使いたいのか。そこから逆算して、それぞれの理解力や能力に応じた教材を生成AIで提供しています。
――生成AIを使う発想は、どのように生まれたのですか。
私たちは、いつでも、どこでも、だれでも英語を学べるツールとしてeラーニングを採用してきました。ところが、長続きせず、途中でやめてしまう人が多かった。eラーニングの教材は画一的で、受講者の学びの目標に合うような、関心が持てる学習になっていなかったためです。
これまで、受講者一人ひとり…