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能登半島地震での「文化財レスキュー」。土蔵から古文書が運び出された=2024年3月30日、石川県能登町、林敏行撮影
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 被災した建物に残された美術品や古文書を救い出す「文化財レスキュー」。その活動が始まるきっかけとなった阪神・淡路大震災から30年を迎えたのにあわせ、1月中旬に東京・上野の東京国立博物館でシンポジウム「文化財レスキュー、広がりと深化の30年」があった。専門家らが当時直面した課題などを振り返り、震災を機に始まった文化財保護の取り組みについても意見を交わした。

 「地震直後は、文化財どころではなかった」

 当時の文化庁美術工芸課長で、後に九州国立博物館の初代館長になった三輪嘉六(かろく)さんが、講演で当時を振り返った。

 やがてライフラインが復旧し、建物の被災状況が分かってきても、美術品など動産の文化財の情報はほとんどなかった。倒壊した建物の撤去が始まり、「文化財が失われる恐れを抱いた」。文化財や博物館などの団体に協力を呼びかけ、立ち上げたのが文化財レスキューだった。地震から1カ月後の2月17日だった。

 文化財の扱いに慣れた「専門…

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