文化財写真の活用について議論したシンポジウムの様子=東京都千代田区、山本倫子撮影

 1949年の火災で焼損した奈良・法隆寺金堂壁画の保存と活用を考えるシンポジウム「法隆寺金堂壁画と『文化財写真』」が2月23日、東京であった。戦前に撮影された写真のガラス原板(国重要文化財)や、現在進行中の高精細デジタル撮影など、文化財写真の活用と可能性をめぐって研究者らが語り合った。

講演① 青柳憲昌・立命館大准教授

 金堂壁画保存事業は昭和大修理の一部で、昭和10(1935)年のガラス原板もその一環として撮影された。法隆寺金堂壁画保存活用委員会が進める壁画の撮影は、それを踏襲しつつ現代の技術で刷新したものだ。

 文化財写真とはなにか。全体を正面から写し、暗くて見えないところが少ないなど客観的な記録が優先される。けれど、正面をどう決めるかなど主観的要素もある。記録か表現か、「見える」か「ばえる」か。その境界はあいまいだ。

 見えなかったものが見えるの…

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