現場へ! バラバラ文化財の再建(2)
東日本大震災の津波でバラバラになった岩手県陸前高田市今泉地区の県有形文化財・旧吉田家。地域の誇りの再建を願い、有志が2011年7月までに部材1017個を回収した。しかし、元通り組み立て直せるのか。
作業は難航した。どの部材がどこに使われていたのか示す「番付」と呼ばれる墨書きが1本ずつ施され、組まれ方がわかる痕跡などもあったが、部材の回収後、カビや腐食を防ぐために洗浄を繰り返したため消えていたからだ。
ジグソーパズルをはめるような作業が始まった。
屋根や梁(はり)付近は、津波で流されたが損傷が少なく元の位置がわかった。だが柱は波の力でへし折れるなどして再使用は難しかった。
困難な復旧作業だったが、その道のプロ2人が中心になって「回収した熱意をむだにしてはいけない」と思いを継いだ。気仙大工として全国の伝統建築や細工に携わり、60年の経験がある棟梁(とうりょう)・藤原出穂(76)と、約30棟の国指定文化財の保存・修理に携わり、識者らによる復旧委員会の顧問に呼ばれた窪寺茂(74)だ。
2人はこれまで各地の建築や…