「週刊文春電子版」に掲載された訂正文

 元タレントの中居正広さんが起こした女性のトラブルを報じた週刊文春が、記事の一部を訂正し、文春の責任を問う声が広がっている。メディア環境の変化が背景にあるという指摘もある。

記事訂正の経緯とは?

 訂正したのは昨年12月26日発売号の記事。トラブルが起きた日、女性はフジ幹部社員に会食に誘われ、断れず参加したとする女性の知人の証言を報じていた。その後の取材で当日の会食に女性を誘ったのはフジ社員ではなく中居さんと判明したとして、1月8日発売号以降の報道で内容を修正したという。

 竹田聖編集長によると、トラブルの受け止めを弁護士の橋下徹氏に取材した際に、「しれっと誤りを上書きするのは不誠実」と指摘されたため、27日に配信した有料の電子版の橋下氏のインタビュー記事の末尾に、修正した旨を記載した。

 ただ、10時間に及んだ同日のフジの記者会見は、最初の記事を前提とした質問も多かった。港浩一社長(当時)は会見で、社員がトラブルの前に中居さん宅で開かれたバーベキューに女性を誘っていたことなどを認めたが、当日については社員の関与を否定。記者が詰め寄る場面もあった。

 会見後の28日になって、文春は無料で読める初報記事(電子版)の冒頭にコメントを掲載した。当日の会食について、誘ったのが社員ではなく中居さんだったことや、女性がその前に社員が設定した会の延長と認識していたことが分かったなどとして、記事を訂正し、謝罪した。

 文春編集部内でも「初報にも訂正を付記すべきだ」という意見が出ていたといい、竹田編集長は「会見が終わるのを待って訂正したわけではない」と話す。

 フジは、清水賢治社長は30日、「(会見は)一連の週刊誌報道がベースとなる質疑応答に終始した。ベースにほころびがあると上に乗っかるものも崩れる」などと言及。「(訂正が)なぜあのタイミングなのか一番疑問に思う」と話した。文春に対しては「影響力が絶大なメディア」と述べた。フジ側は、経緯などの詳細は第三者委員会の調査にゆだねるとしている。

 週刊誌業界ではそもそも、文春の訂正は「異例」と受けとめられているという。

「週刊誌、社会の公器と思ったことない」

 週刊誌での編集経験がある大手出版社幹部は「週刊誌は読み捨てられるもの。訂正を出す習慣はない」。誤りが見つかると、続報で表現を修正したり、当事者のインタビューを載せたりして対応することが多い。「『社会の公器』などと思ったことはない。新聞やテレビが報じない隙間を狙ってきた」

 一方、SNSでは「訂正おわ…

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