Smiley face
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校閲部員は得意分野のある人が多く、周囲によると「旧仮名遣いなら高崎さん」。社内へのメモ書きは旧仮名遣い。記者への返信メールも「お変りないでせうか?」とあった=東京都新宿区、横関一浩撮影
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連載「凄腕しごとにん」

 誤字、脱字の点検は当たり前。作品内の矛盾にも目を光らせる。ひと月に1千枚のゲラを校閲する凄腕(すごうで)がいます。新潮社校閲部の高崎祐一さん(64)。校閲の仕事の喜びとは――。

 右手にゲラの山、左手にパソコンと辞書。ゲラ、つまり校正・校閲のための試し刷りと、原稿のコピーに視線を行き来させ、Bの鉛筆でゲラの文字の上をなぞるように確認していく。1カ月に約1千枚を見る。

 出版業界で質・人数ともにトップクラスと言われる新潮社校閲部。中でも高崎さんは今年創刊120周年を迎えた月刊文芸誌「新潮」の校閲責任者を長年務めた。

 「校閲」と聞いて多くの人が想像するのは誤字や脱字を見つけることかもしれない。だが、文学という創作物を扱う「新潮」では話はそう簡単ではない。

 あるとき、町田康さんの小説に『訣(わか)らない』という表現があった。

 「いくつかの辞書を調べても…

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