斎藤慎太郎八段、伊藤匠叡王への挑戦権獲得「大変強い棋士だと」【第10期将棋叡王戦挑戦者決定戦】=北野新太撮影
将棋の斎藤慎太郎八段(31)が18日、東京都渋谷区の将棋会館で指された第10期叡王(えいおう)戦挑戦者決定戦(不二家主催)で糸谷哲郎八段(36)に111手で勝ち、伊藤匠(たくみ)叡王(22)への挑戦権を獲得した。初の叡王挑戦、3年ぶりのタイトル戦となる。
関西を代表する両棋士による一局。中央5筋から仕掛けた糸谷の攻めを丁寧に受け止めた斎藤は徐々に優位を拡大する。終盤、角取りを手抜いてから一気の飛車切りで華麗に寄せた。
局後の会見では「タイトル挑戦は目指すべきところですが、挑戦と獲得は違う。獲得まで行って棋戦の頂上になるのでまだ先は遠いです。挑戦したからといってうれしいとは思っていないというか、ここから厳しい戦いが始まる。まだまだです」と語った。
3年ぶりのタイトル挑戦。大舞台に至るまでの3年間は、順位戦A級からの陥落を経験するなど苦しんだ。「自分はそんなものなのかなと思うこともあったけど、ちょっとさみしかった。もう一度、見てもらえる将棋を指したいと思っていました。進んでいる、という認識がほしかった」
2022年秋に結婚を発表して以来、初の大舞台となる。「いい成績を挙げられず、結婚してから下がり気味と言われるのは不本意で。自分はいいですけど、家族は苦しいところもあった。両立できていると証明できるように頑張らないと」
斎藤は奈良市出身。12年、18歳で棋士に。18年、初タイトルとなる王座を獲得。21年、22年にはA級順位戦を制して渡辺明名人(当時)に挑戦した(いずれも1勝4敗で敗退)。今期の叡王戦本戦トーナメントでは大橋貴洸七段、豊島将之九段、永瀬拓矢九段を破っていた。
叡王戦は昨期、八冠を独占していた藤井聡太叡王(当時)に挑戦した伊藤が3勝2敗でタイトルを奪取した。
今期の藤井は本戦準決勝で糸谷に敗れた。藤井が出場しないタイトル戦は22年の王座戦(当時の永瀬拓矢王座―豊島将之九段)以来3年ぶりとなる。
斎藤慎太郎八段、結婚後初のタイトル挑戦に「成績を上げられず、自分はいいですけど家族は苦しいところもあった」【第10期将棋叡王戦挑戦者決定戦】=北野新太撮影