関西学院大法学部の山田真裕教授=兵庫県西宮市、小池淳撮影

 選挙をめぐり、相手陣営を敵視する言説がソーシャルメディアで飛び交う。新聞やテレビに対するオールドメディア批判にも通じる背景について、選挙行動に詳しい関西学院大法学部の山田真裕教授(59)=政治学=に聞いた。

特集「明日も喋ろう」

 38年前の憲法記念日、朝日新聞阪神支局の記者2人が散弾銃で撃たれて死傷しました。あの銃口は言論の自由を求める市民社会に向けられたもの。そう受け止め、事件について書き続けてきました。しかし近年、その市民から新聞やテレビが「オールドメディア」と揶揄(やゆ)され、敵視されることがあります。報道機関は国民の知る権利に応えているか。メディアの世界を知る人たちと共に考えます。

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 ――選挙において、新聞やテレビは有権者の投票行動にどのような影響を与えると考えられているのでしょうか。

 これまでの日本人の投票行動研究の蓄積では、投票先の選択にマスメディアの効果が認められたことはほとんどありません。報道を見て投票先を決めようと思っている人はほとんどいないと考えられています。

 選挙情勢の報道などで投票意欲には影響しても、投票先を選ぶ上では有権者の党派性(イデオロギーや支持政党)や、有権者が重要だと思う政策争点への態度などが大きいと言われています。候補者との接触や誰かから頼まれたという対人的な要素が大きいという分析もあります。

 そもそも、新聞やテレビが選…

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