優勝パレードの開催を明らかにした会見の様子。実行委員会の正式名称は、兵庫・大阪連携「阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」~2025年大阪・関西万博500日前!~実行委員会=2023年9月22日、大阪市北区中之島6丁目、吉川喬撮影

 兵庫県の斎藤元彦知事らが背任容疑で刑事告発された、プロ野球の優勝パレード事業。県警は13日付で捜査結果の書類を神戸地検に送った。起訴などの刑事責任が問われる可能性は低いとみられるが、事業をめぐっては見通しの甘さが目立った。

 2023年、阪神はセ・リーグで18年ぶりの優勝、オリックスはパ・リーグ3連覇を果たす。関西の球団がプロ野球の両リーグを制したのは59年ぶりだった。

 パレードは、県や大阪府、経済団体などで実行委員会を作り、11月23日に神戸・大阪両市で開かれた。

 両チームの監督や選手らが参加し、実行委によると主催者によると約100万人が集まった。

 ただ、開催前から資金面は盤石ではなかった。

浮上した「キックバック疑惑」

 事業に税金は投入せず、クラウドファンディング(CF)と企業・団体からの協賛金でまかなう計画だった。

 「これまでにない規模感で実施し、より多くの皆さまとお祝いしたい」。CFのウェブサイトでこう呼びかけ、球団のロゴなどをあしらったグッズを返礼品として用意した。

 しかし、パレードを約3週間後に控えた11月2日の会見で斎藤知事は、CFが「正直苦戦している」と発言した。最終的に集まったのは約1億円。目標の5分の1にとどまる。

 事業報告書の収支によると、経費は警備費や機材費など計約6億4千万円。一方の収入は、CFで足りなかった分を企業などからの協賛金約5億3千万円でまかなったとされる。

 そんななか浮上したのが、県による「キックバック疑惑」だ。

 元西播磨県民局長(故人)が斎藤知事らを内部告発した文書には、七つの疑惑の一つとして「優勝パレードの陰で」という項目がある。

 CFや企業からの協賛金が必要経費を大きく下回ったため、金融機関への県の補助金を増額し、それを募金(協賛金)としてキックバックさせて補った、という内容だった。当時副知事だった片山安孝氏が「司令塔」だったと記されていた。

 市民オンブズマンなどは、不適切な税金投入によって補助金を1億円から4億円に増額し、県に約3億円の損害を与えたとして、昨年10月に斎藤知事と片山氏を背任容疑で県警に刑事告発した。

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第三者委の見解は

 内部告発文書の真偽などを調べた県の第三者委員会は今年3月、調査報告書を公表した。

 パレードの疑惑をめぐって第三者委が認定した概要はこうだ。

 23年10月下旬以降、CFの集まりが悪いことから、実行委は積極的に(企業の)協賛金の依頼をしていた。ただ県の事務局では、11月17日時点で、必要な協賛金の確保に見通しがついていた。

 だが同日午後、大阪府の事務…

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