昨秋の兵庫県知事選で、斎藤元彦知事側がPR会社に、選挙運動の報酬として約70万円を支払った疑いがあると告発された問題で、告発人側が、この支払いについて、公職選挙法の買収罪とは別の利害誘導罪にあたるとする告発状を、9月に神戸地検に追加で提出していたことがわかった。
斎藤知事は17日の定例記者会見でこの件を問われ、「適法に対応してきたという認識に変わりはない」と述べた。
告発しているのは、元検事の郷原信郎弁護士ら。
郷原氏らはこれまで、PR会社の社長は知事選での選挙運動者として、SNSなどの「戦略的広報業務」を斎藤知事側から受託し、告示後に支払われた計71万5千円が選挙運動に対する報酬だった、と主張していた。
一方、知事側の代理人弁護士は、PR会社の社長はSNSアカウントの作成などに携わったが、あくまでボランティアであり、管理主体は斎藤陣営だったと説明。
支払われた現金については、ポスターや選挙公報のデザイン制作など、法的に認められた5項目への対価だとして、選挙運動への報酬ではないと反論していた。
今回の追加の告発状は、斎藤知事側とPR会社のやりとりが仮に買収罪にあたらなくても、利害誘導罪にあたると指摘。
社長が選挙運動者だとした上で、斎藤知事側は、社長が選挙運動をする可能性を認識しながら、社長の会社に業務を発注し対価を支払っており、公職選挙法で禁止する利害関係を利用した選挙運動の誘導に当たるとした。社長も、誘導に応じたとしている。
この問題では、県警が6月、斎藤知事と社長を同法違反(買収と被買収)容疑で書類送検している。