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「空母化」の改修後、試験航海する護衛艦かが=2023年11月13日午後1時59分、山口県沖、朝日新聞社ヘリから、吉本美奈子撮影

 3月24日、自衛隊の運用を一元的に指揮する組織として発足した統合作戦司令部(JJOC)。初代司令官に就いた南雲憲一郎空将は会見で、JJOCの準備過程で明らかになった課題を問われると、「空母化」の改修が施された「いずも型護衛艦」を挙げてこう指摘した。

 「F35B(戦闘機)といずも型の運用について、運用体制を早期に確立していく必要がある」

 南雲空将自身も、戦闘機のパイロット出身だ。

 いずも型の甲板で戦闘機を運用する「空母化」の構想は、2017~18年ごろに政府内で浮上した。中国の爆撃機が紀伊半島沖まで飛行し、中国空母も西太平洋に進出して艦載機の発着艦を繰り返し始めたころだ。

 太平洋側で空自戦闘機の運用に必要な2400メートル以上の滑走路は2カ所しかない。防空体制に大きな穴があることは「不都合な、公然の事実」(政府関係者)だった。いずも型護衛艦の空母化改修と、短い滑走で離陸し垂直に着陸できる戦闘機(STOVL機)の導入は、その「穴」を埋めるための一環だ。

 甲板の耐熱強化や艦首形状の変更といった空母化改修に充てられた予算は、19~24年度で計約777億円。空自側でも20年度以降、F35Bの調達予算が計上され、艦艇の改造、新たな戦闘機の導入と「ハード面」の準備は着々と進んでいる。

 その一方、大きな課題があら…

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