愛知県の鳥インフルエンザに関する緊急対策会議で発言する大村秀章知事(中央)=2025年1月19日、県庁、辻健治撮影

 愛知県は19日、半田市と常滑市、阿久比町の農場計4カ所で見つかった高病原性鳥インフルエンザに感染した疑いのある採卵鶏とウズラについて、遺伝子検査で陽性と確認されたと発表した。今後、計64万3千羽を殺処分する予定で、県は陸上自衛隊に災害派遣を要請した。

 県内では今月に入って感染確認が相次いでおり、今季8~11例目。全国では計36例となった。今季の県内での殺処分数は計約131万羽で、過去最多となる。

 感染が確認された4農場は、半田市の2カ所と常滑市と阿久比町の各1カ所で、18日に鶏やウズラがまとまって死んでいると通報があった。

 県は19日に緊急対策会議を開き、支援を求めて陸自に災害派遣を要請。今後は半径3キロ以内の16農場で飼育する計約102万羽の移動を制限し、半径3~10キロの25農場では計約127万羽の搬出を制限する。防疫措置は今月31日までに完了するとしている。

 大村秀章知事は「4例が同時に発生したのは残念であり、大変な衝撃を受けている。速やかに防疫措置を完遂したい」と話した。

渡り鳥のカモ→カラス介して感染?

 これまで感染が確認された11農場のうち8農場は常滑市内にあり、そのうち7農場は半径数百㍍圏内に密集していた。

 農林水産省は今月17日に名古屋市内で対策会議を開いた。それによると、発生地域の周辺にある河川で渡り鳥のカモが確認されたという。近くでは鳥インフルエンザに感染したカラスの死骸が見つかっており、渡り鳥が持ち込んだウイルスがカラスを介して農場に侵入した可能性がある。

 また、12月以降県内では雨がほとんど降らず乾燥した状態が続いていることもウイルスが生存しやすく感染が広がった要因だ、と指摘された。

 農水省動物衛生課の大倉達洋・家畜防疫対策室長は会議終了後に会見し、「全国のどこで感染が広がってもおかしくない。ウイルスが侵入する隙を防ぐことが重要だ」と呼びかけている。

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