沖縄で今夏、新たなテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業する。事業費は700億円と、沖縄では過去最大級の民間プロジェクトだ。1972年の日本復帰以来、国主導で行われてきた経済振興策とは一線を画す動きとして地元の期待が高まるが、住民の間では過去の苦い記憶も交錯する。

 那覇市から車で北に約1時間半。「やんばる」と呼ばれる沖縄本島北部の山あいに、ジャングリアの予定地がある。名護市と今帰仁(なきじん)村にまたがるゴルフ場跡地の約60ヘクタールに、やんばるの自然を空から眺める巨大気球や、車で恐竜から逃げ回るといったアトラクションなどを20以上設け、温浴施設も併設する。開業は7月25日の予定だ。

7月25日に開業する「ジャングリア沖縄」=ジャパンエンターテイメント提供

頓挫したUSJの進出計画

 計画には紆余(うよ)曲折があった。

 10年前、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が沖縄本島北部への進出を発表。当時の菅義偉官房長官が「沖縄振興策の要」と述べるなど、政府も強く後押しした。

 しかしUSJの経営体制が変わり、約1年後に計画は撤回。それでも、USJの立て直しに手腕を発揮した森岡毅氏がその後独立して立ち上げたマーケティング会社「刀(かたな)」などが2018年に沖縄でのテーマパーク構想を発表し、実現にこぎ着けた。

地元企業も出資、膨らむ期待

 地元経済界の期待は大きい。

 国は、27年間の米軍支配を受けた沖縄と、高度経済成長を経た本土との格差を埋めるためとして、高率補助によるインフラ整備などを推し進めた。しかし、大型公共事業となると本土資本の大企業が受注し、地元に金が落ちにくいことから「ザル経済」と言われ続けた。

 これに対しジャングリアでは…

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