関西電力美浜原発3号機=2022年9月16日、福井県美浜町、朝日放送テレビヘリから、飯塚悟撮影

 関西電力が美浜原発(福井県美浜町)で地質調査に乗りだし、新しい原発の建設に動き始める。経営上の理由から新原発が必要な電力業界と、エネルギー政策の点から原発を維持したい国の思惑などがからみ、東京電力福島第一原発事故後の「脱原発」を段階的に転換。新設に動ける環境を整えてきた。ただ、国の手厚い支援なしには原発事業は成り立ちにくいとの見方は関電自身も示す。先行きの危うさもある。

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 約1時間にわたった22日の記者会見で、関西電力の森望社長が繰り返したのは「原子力は将来にわたって継続的に活用されるべきだ」との考えだった。

 関電は福井県内に美浜、大飯、高浜の3原発を持つ。福島第一事故の対応に追われる東京電力に代わり、震災後の原子力業界を主導してきた。

 事故前に11基あった原発のうち、廃炉を決めた4基を除く7基は23年9月までに再稼働させた。2024年度の自社の発電量に占める原発の割合は48%。火力の39%、水力の13%を上回り、50%前後を占めた事故前の姿に戻りつつある。一方で、太陽光など新エネルギーはいまだに1%にも届かない。

 燃料価格の変動幅が大きい火力発電と比べると、原発の発電コストは安定していると関電はみる。関電の場合、原発の利用率が1%あがると53億円分、収支がよくなる効果があるという。

世論の反応も探った社長

 経営上、原発が欠かせない関…

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