沖縄尚学―日大三 八回裏、先発の新垣有⑩からボールを受け取る沖縄尚学2番手の末吉=内海日和撮影

 (第107回全国高校野球選手権決勝 沖縄尚学3―1日大三)

 沖縄尚学のエース末吉良丞はマウンドにいた新垣有絃の背中をグラブでたたいた。「任せろ」

 八回2死一塁、先発して好投していた新垣有の足に違和感が出始めたところで救援した。後続を1球で断った。

 最速150キロ左腕の末吉と、鋭いスライダーが武器の右腕・新垣有。決勝を含む6試合中4試合が2年生の2人による継投だった。

 新垣有にとっては、とにかく甲子園のマウンドが投げやすかった。決勝は要所で140キロ台中盤の直球が走り、7回3分の2を1失点に抑えた。

 2年生にして大会屈指の投手と言われた末吉の成長に、新垣有は欠かせない存在だ。「選抜の前に、(新垣)有絃(ゆいと)の球速が10キロ以上伸びた」。急成長を目の当たりにし、奮い立った。

 今春の選抜は2回戦で横浜(神奈川)に敗戦。末吉は「空振りを取れる球がない」とスライダーを磨いた。

 比嘉公也監督は末吉頼みにならないチーム作りを目指してきた。選抜では優勝経験があるが、各チームの打力が上がる夏は8強が最高。「今まで、どの試合もエースからという戦いをしてきた。それでは勝ちきれないと感じていた」

 沖縄大会から意識的に新垣有を起用した。右腕は「ピンチでも落ち着いて投げられるようになった」と投げるたびに自信をつけた。

 34回を投げて防御率1・06の末吉と、22回で0・82の新垣有。輝きを増し続けた2年生リレーが、「春の沖尚」に夏の勲章をもたらした。

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