坂本龍一(故人、1970年卒)は新宿高校1年生の時、音楽教師の野村満男から、東京芸大の作曲科に入った先輩がいるから訪ねてみろと勧められた。初めて作曲したのは幼稚園生の時だったが、高校に入った当時、まだ音楽家になろうとは思っていなかったと述懐している。

デビッド・ボウイの回顧展の関連イベントで、鎮魂のピアノ演奏をする坂本龍一=2017年3月

 その先輩とは、のちに著名な作曲家となる池辺晋一郎(80、63年卒)。新宿高校で初めて、芸大作曲科に進学した卒業生だった。

 池辺の自宅を訪ねた坂本は、「何か弾いてみて」と言われ、ピアノを弾いた。坂本は、自身の著書やインタビューで、「池辺さんに『これなら今芸大を受験しても受かるよ』と言われ、『やった!』と思った」と回想している。実際、坂本も芸大に進んだ。

【連載】高校思い出クリック~青春群像記~

高校をシリーズで紹介する企画。坂本龍一、池辺晋一郎ら著名な音楽家が多数輩出した、東京都立新宿高校の2回目です。

「音楽家の原点は新宿高校に」

 一方の池辺は、「割といい曲…

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