大学卒業後、岐阜県と長野県で家具職人の修業をした経験を持つ小川=2024年4月23日、佐藤太郎撮影
  • 写真・図版

【連載】高校思い出クリック~青春群像記~

高校をシリーズで紹介する企画。東京都立新宿高校の6回目は、国内外で活躍する卒業生たちを紹介します。

 「あっしにはかかわりのないことでござんす」という決めぜりふが流行語にもなった、人気時代劇「木枯し紋次郎」(フジテレビ)。紋次郎役で一世を風靡(ふうび)した俳優の中村敦夫(84、1958年卒)は、福島県立磐城高校から転校してきた。

 新宿駅から学校へ、生徒たちはみんな辞書や教科書を読みながら登校している。「田舎で自由に生活した頃と比べると『えらい所に来たな』という違和感があった」と述懐する。高校近くに、まだ「赤線」が残っていた時代。下校時には、夕暮れのなかで椅子に腰掛けた女性たちが「学割あるわよ」などと妖しげな言葉を投げかけてきた。

 「1950年代、エリートを養成しなければ、という国全体の高揚感に新宿高校も組み込まれていた。そんな流れに嫌気がさし、完全にドロップアウトした」。洋画をみたり、本を読んだり、両国の国際スタジアムにあったローラースケート場で遊んだりと、受験勉強一辺倒とは違う生活を送り、俳優になった。

 フジテレビでアナウンサーと…

共有
Exit mobile version