「間違いなく自分の棋士人生のターニングポイント」。日本棋院中部総本部(名古屋市)の大竹優七段(23)は、非常の決意で第50期囲碁碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)の挑戦者決定戦(挑決)に臨んだ。
井山裕太碁聖(36)への挑戦権を争う本戦の大竹の活躍は、目を見張るものがあった。中でも5月8日の一力遼名人(28)との準決勝は、衆評を覆す完勝だった。
対局中、「自分が唯一勝てそうなパターンに入った」と思った。一力のずば抜けた読みを封印すべく、石と石がぶつかり合う接近戦にならないよう腐心した。譲るものは譲り、陣地の囲い合いに持ち込んでリードを奪い、勝負手を与えず押し切った。
それまで対一力戦は3戦全敗だった。「全然手が届かないと思ってたんですけど、自分のやることさえやれば届くじゃないかと。きょうの碁は大きい。自信になりました」
対局後の大竹は冗舌だった。自身初の七大タイトル挑決に臨む意気込みを聞くと「このまま碁聖、取りたいっす」。挑決を飛び越え、タイトル奪取への意欲をあけすけに語った。
長野県飯山市出身。地元の公民館の囲碁体験教室に顔を出してハマった。小学5年のとき、勤務医の父の転勤で名古屋に移り、院生(プロ候補生)になった。
2014年、同じ中部総本部…