Smiley face
写真・図版
優勝した中京大中京の選手ら=岡崎レッドダイヤモンドスタジアム
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 全国最多の173チームが参加した第106回全国高校野球選手権愛知大会(朝日新聞社、愛知県高校野球連盟主催)は、7年ぶり29回目となる中京大中京の優勝で幕を閉じた。無失点で決勝へ駆け上がった東邦、4連覇に挑んだ愛工大名電を退けて旋風を起こした名古屋たちばなと、連日白熱した戦いが繰り広げられた。

 準優勝の東邦は、準決勝までの5試合で失点0で、無失点のまま優勝すれば戦後初の快挙だった。決勝は初回に先制し、逆転された後もすぐ追い上げた。一方、中京大中京は勝負強い打線で八回に突き放して、栄冠を手にした。決勝にふさわしい無失策の好ゲームに約1万2千人の観客は何度もわいた。

 杜若は過去の最高記録に並び、4強入り。元プロの監督のもと、力をつけたエース西脇光世選手(2年)が躍動。東邦との準決勝は延長十回で敗れたが、奮闘ぶりに惜しみない拍手が送られた。

 日本福祉大付のエース沢田正吾選手(3年)は準決勝の中京大中京戦で7四死球と安定せず、コールドで敗れた。疲労の影響もあっただろうが、本人は言い訳にしなかった。ただ4強の原動力はまぎれもなく沢田選手の力投あってこそだった。支えた捕手の大脇連選手(3年)は試合後に涙をこぼした。「自分が修正させてあげられなかった」

今大会は波乱、躍進・・・ 今後の新チームにも注目

 今春の選抜大会に出場し、ノーシードから4連覇を狙った愛工大名電が5回戦で敗退する波乱もあった。右腕の伊東尚輝選手(3年)が初戦前に離脱。エース大泉塁翔(るいが)選手(3年)への負担は大きかったかもしれない。

 多くの野球ファンを驚かせたのは名古屋たちばなの躍進だ。今春に愛産大工から校名を変更したが、シードの享栄、公立の強豪・大府、愛工大名電を次々と破り、新校名を広く知らしめた。継投した6投手のうち3人が2年生で、新チームが今から楽しみだ。

 全国的に注目された選手といえば、豊川のモイセエフ・ニキータ選手(3年)だろう。今春の選抜で大会1号本塁打を放って一躍有名に。愛知大会で本塁打は出なかったが3試合で5打点、打率4割2分と勝負強さがあった。5回戦で夏が終わったが、プロ入りをめざし練習は続けるという。

ノーヒットノーラン未遂、延長13回の接戦も

 旭丘のエース井戸田晴斗選手(3年)の活躍も光った。2回戦ではノーヒットノーランまであと2死の完封劇だった。

 西春―星城の4回戦は延長十三回までもつれ込んだ。西春のエース芦谷輝大選手(3年)がマウンドに立ち続けたが、最後は星城にサヨナラで敗れた。

 16強には公立の西尾や東郷が入り、底力を見せた。

 大会をふり返ると、本塁打数は昨年の65本から23本減って42本だった。今春の選抜大会から導入された反発性能を抑えた新基準の「低反発バット」が影響した可能性もある。

 敗れた172チームの思いを背負って、創部101年の中京大中京は夏8度目の全国選手権制覇に挑む。大会は8月7日、開幕する。(渡辺杏果)

共有