新潟県民の憧れだった地下街が崖っぷちに立たされていると聞いた。一体、どうなってしまったのか。
地上からエスカレーターを下り、地下街の真ん中にある「出逢(あ)いの広場」に足を踏み入れた。ドーム形の天井に円形の窓、柱に絡まるバラと少女の絵……。スペインのアルハンブラ宮殿をイメージしたという、その不思議な空間は昔から変わっていない。今年、話題になったあのドラマのバスに乗って、令和から昭和にタイムスリップしたようだ。
ただ、人の姿がほとんどない。
今から半世紀近く前の1976年、「西堀ローサ」は新潟県内初の地下商店街として開業した。全長330メートル。新潟一の繁華街、古町の中心部にあり、「大和」「三越」の二つの百貨店ともつながった街は瞬く間に流行の発信地となった。14年前にローサで開業した中古レコード店「キングコング」の小池克也さんは、当時は新宿の地下街「サブナード」のようだったと振り返る。
その後、人の流れは古町から、信濃川をはさんだ万代、新潟駅前地区へと移っていく。百貨店は相次いで閉店し、テナントの売り上げは近年、ピーク時の50分の1に減少した。ローサを運営する第三セクター「新潟地下開発」は新潟市からの借入金を返済できず1年後に解散する方針で、テナントには今年度中の退去を要請した。地下街は市が取得する方向だが、活用方法は決まっていない。
そんなローサに新たな風が吹き始めた。
土曜日の夕方、空き店舗だっ…