30キロの新米を購入する客=2024年9月3日午後3時16分、千葉県いすみ市、友永翔大撮影

 2024年産の新米が店頭に並び始めた。品薄解消が期待されているが、生産コストの上昇や需要の高まりを受けて、値段は上がる見込みだ。

 「新米コシヒカリ 玄米30キロ 12500円」

 千葉県いすみ市の農産物直売所「グリーンスパいすみ」。収穫されたばかりの特売の新米がずらりと並ぶ。通常価格は昨年同期と比べ4割ほど高い。同県茂原市から来た自営業の70代男性は「去年に比べれば高いが、地元に比べれば安くておいしい」と新米を購入した。

 店の責任者は「品薄を受けて新米の仕入れ値などが上がり、店頭価格も影響を受けている」。それでも新米を買い求める客が県外からも来訪し、例年よりも売れ行きは好調だという。

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 各地の農協(JA)が米の生産者に前払いする概算金は、前年に比べ2~4割ほど上昇している。概算金は仕入れ値のもととなり、店頭での価格にも影響する。

 米の生産量が全国3位の秋田県では、県産あきたこまち60キロあたりの概算金を前年比38%増の1万6800円に決めた。過去10年でも最大の上げ幅だった。同1位の新潟県でも県産コシヒカリが同22%増の1万7千円。同2位の北海道では道産ななつぼしが同32%増の1万6500円だった。西日本でも引き上げが相次ぎ、香川県産のコシヒカリは同42%増の1万6620円、高知県産のコシヒカリも43%増の1万4800円となっている。

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