「老人ホームで働いていると、思いもよらないドラマに遭遇することがあります」
そう話すのは、介護福祉士のこずえさん(50)だ。
入居初日に「こんなところに来て、人生終わりだ」と言う人もいる。
きっと、昔の「うば捨て山」のイメージが強いのだろう。
寝たきりや認知症の人ばかりと思われがちだが、もちろん施設によって違う。
レクリエーションやアクティビティーが充実している施設も増えている。
「人生終わりだ」と思っている人たちに、「新しい暮らしの始まり」を感じてもらいたい。
そんな思いで日々、入居者に接している。
普段は無口な男性が
これまでに何度か、「誰かの人生が輝く瞬間」に立ち会った。
思い出すのは数年前、入居していた80代男性のことだ。
夜勤中に部屋を訪問すると、男性はCDを聴きながら1人で何かをしゃべっていた。
「夜も遅くなってきましたし、そろそろ寝ましょうか」
そう声をかけると、普段は無口な男性がこう言った。
「こずえちゃん、私は若い時…