Smiley face
介護福祉士として20年以上働いてきた、こずえさんの手

 「老人ホームで働いていると、思いもよらないドラマに遭遇することがあります」

 そう話すのは、介護福祉士のこずえさん(50)だ。

 入居初日に「こんなところに来て、人生終わりだ」と言う人もいる。

 きっと、昔の「うば捨て山」のイメージが強いのだろう。

 寝たきりや認知症の人ばかりと思われがちだが、もちろん施設によって違う。

 レクリエーションやアクティビティーが充実している施設も増えている。

 「人生終わりだ」と思っている人たちに、「新しい暮らしの始まり」を感じてもらいたい。

 そんな思いで日々、入居者に接している。

普段は無口な男性が

 これまでに何度か、「誰かの人生が輝く瞬間」に立ち会った。

 思い出すのは数年前、入居していた80代男性のことだ。

 夜勤中に部屋を訪問すると、男性はCDを聴きながら1人で何かをしゃべっていた。

 「夜も遅くなってきましたし、そろそろ寝ましょうか」

 そう声をかけると、普段は無口な男性がこう言った。

 「こずえちゃん、私は若い時…

共有