施設側が想定するのは「給料」、働く側が重視するのは「自分の成長」――。国内で介護に携わる外国人人材が転職した理由を聞くと、受け入れる介護事業者と働き手の間で認識のズレがあることが、みずほリサーチ&テクノロジーズの調査で分かった。
地方から都市部への転職も、全体の2割程度にとどまっている。外国人人材の転職の自由を拡大すると、人材が給料の良い都市に流出すると心配されているが、やり方次第で防げる可能性を示す結果と言えそうだ。
みずほリサーチ&テクノロジーズがアンケート
原則転職ができない技能実習制度が2027年までに育成就労制度に移行し、同じ分野での転職が認められるようになるのを前に、介護分野の転職の実情を調べようと、全国の介護事業者5千(有効回答数1189)と、介護施設で働く外国人2094人に昨年秋、アンケートした。
事業者側に、外国人人材が他事業所へ転職する場合に想定される理由(複数回答)を聞いたところ「給与を上げるため」が78.9%を占めた。
一方、転職経験のある外国人に今の事業所で働きたいと思った理由(同)を聞くと「自分が成長できる」(37.9%)が「給料がよい」(34.3%)を上回って最多だった。転職を考えるまでに勤務した年数別にみると、6カ月未満の転職者は「給料」が3割と最多だったが、3年~5年未満だと2割の「成長」が「給料」を上回って最も多くなった。
外国人介護人材が重視する「成長」とはどんなものなのでしょうか? 記事後半では、3年前に転職を経験したフィリピン人女性の事例を探ります。
転職前と後の勤務先を尋ねる…